不動産の教科書

不動産全般やニュース、空き家・空き地の問題、不動産売買について取り上げていきます。

MENU

不動産をマイナスで処分? 現金881万円と土地建物がもらえる?

北海道の室蘭市にある土地建物がマイナスで入札にかけられた。全国でもマイナスで入札にかけられた不動産は2例目だという。

 

入札にかけられたのは、1976年開館の旧総合福祉センターの建物と、敷地など市有地5642平方メートル。市は土地の評価額から、基準に基づき算出した解体費を差し引いた「最低入札価格」として、マイナス881万円を設定。全国展開する介護事業者1社が参加し、事前に公開していた最低入札価格と同額で落札した。

市有地入札 マイナス881万円 室蘭市、土地評価額を建物解体費上回る

 

 マイナスとはどういうことか?

その土地建物を落札した業者が881万円払うのではない。市がその業者に対して881万円払うのである。

 

つまり、落札した業者に対して、敷地5642平方メートルと、その上に建っている建物、そして881万円が渡されるのである。

 

めちゃめちゃ業者が得してるやんって話かもしれんけど、そんな話ではない。

建物の解体費用が市の試算だと3000万円かかる。市が自前で解体費用を負担するよりも、建物を解体せずに現況渡しとして安くなるカタチで買い手がついたのだ。

 

 

首都圏だと、マイナスで不動産の売買や入札がされることは無いと思われるだろうけど。

 

それが結構あるんです。

 

タダでも家がいらない。解体費用や登記費用を出すから引き取ってほしいという、マイナスでの売買を希望するオーナーもいたりするのだ。

 

税金がもったいない。建物の維持管理が出来ない。解体費用を捻出できない。

 

そんなオーナーは多いのだから。

 

 

いや、更地オーナーだともっといるかもしれない。住宅需要がまったくないところであれば、更地なんてタダでも引き取りはあらわれない。

 

共通する点が市街化調整区域や非線引き区域だ。住宅需要がなく、所有者は別の地域に住んでいる。大体は、親から相続しているのだ。

 

あとは、難ありの物件。

地方の再建築不可物件や長屋だと、悲惨だ。

 

処分したくても、地元の不動産会社は仲介を受けてくれないことも多い。売買価格が非常に安ければ、仲介手数料なんて微々たる金額になってしまう。

たった数万円の手数料で物件調査や重要事項の説明、契約書の作成、案内業務なんてやっていたら大赤字になってしまうだろう。

 

私が媒介を預かってる地方の物件で販売活動をしてるときに、

 

「マイナスで購入できませんか?」

 

まれだけど、こんなことを言ってくる投資家の方もいる。

 

100万円以下の物件で、残置物もかなりあって、建物が傷んでいるからそのようなことを言ってきてるのだろうけど。

 

指値なら、まだいい。。

 

しかし、うちの仲介手数料はどうなる!?w

 

もちろん、そんな報告はオーナーにはせずに、販売活動は行い続けて、無事に売れたから良かった。

 

 

しかし、今後、首都圏でもマイナス同然で不動産取引がされることは増えてくると思う。

 

 

そうでなければ、オーナー所有し続けるしかあるまい。そして所有者本人が亡くなると、相続登記もされない。

 

いずれ、所有者不明の土地が出来上がることになる。